今の給料に満足してる?介護職が収入をアップさせるための具体的な方法5選

今の給料に満足してる?介護職が収入をアップさせるための具体的な方法5選

「人の役に立ちたい」「社会に貢献したい」という強い想いを持って、介護の仕事を選んだあなた。日々の業務で利用者様から「ありがとう」と感謝される瞬間は、何にも代えがたいやりがいを感じることでしょう。


しかし、その大きなやりがいの一方で、「この仕事、好きだけど給料が…」と、将来に不安を感じている方も少なくないのではないでしょうか。


近年、国による「介護職員処遇改善加算」などの施策により、介護職の給与は少しずつ改善傾向にあります。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員(月給・常勤)の平均給与額は317,540円となり、前年よりも16,770円増加しました。


それでもなお、仕事の大変さや専門性に見合っているとは言えない、と感じる場面も多いかもしれません。


しかし、給与が理由で、その尊い仕事を諦めてしまうのは非常にもったいないことです。


実は、介護職にはキャリアの可能性が大きく広がっており、自分自身の行動次第で収入をアップさせることは十分に可能なのです。


この記事では、介護職として働きながら収入を上げていくための、5つの具体的な方法を徹底的に解説します。今の給与に満足していない方、将来のキャリアプランを描きたい方は、ぜひ最後までお読みください。あなたの市場価値を高め、やりがいと待遇の両方を手に入れるためのヒントがきっと見つかるはずです。


方法1:資格を取得して「資格手当」で給与の土台を上げる

収入アップを目指す上で、最も確実で基本的な方法が**「資格の取得」**です。


多くの介護事業所では、保有資格に応じて「資格手当」が支給されます。これは毎月の給与に上乗せされるため、着実に年収を底上げすることができます。資格はあなたの専門性の証であり、キャリアアップのパスポートでもあります。


ここでは、収入アップに直結する代表的な資格をステップアップの順にご紹介します。


ステップ1:介護職員初任者研修

無資格・未経験から介護の世界に飛び込むなら、まず取得を目指したいのがこの資格です。介護の基本的な知識と技術を学ぶことができ、訪問介護など一部のサービスでは必須とされています。資格手当の相場は月額3,000円~5,000円程度ですが、無資格からのスタートと比べると大きな一歩です。何より、自信を持ってケアに入れるようになるという精神的なメリットも大きいでしょう。


ステップ2:介護福祉士実務者研修

初任者研修の上位資格であり、国家資格である「介護福祉士」の受験には、この研修の修了が必須となります(実務経験ルートの場合)。より専門的な知識と技術が身につき、たん吸引や経管栄養といった医療的ケアの基礎も学べます。また、訪問介護事業所で必置義務のある「サービス提供責任者(サ責)」になることができ、役職手当がつく可能性も広がります。資格手当の相場は月額5,000円~10,000円程度と、初任者研修よりも高くなります。


ステップ3:介護福祉士(国家資格)

介護系資格の中で唯一の国家資格であり、介護のプロフェッショナルであることの証明です。この資格を持つことで、給与は大きく変わります。資格手当の相場は月額10,000円~30,000円程度と幅がありますが、年収に換算すると12万円以上の差が生まれることも珍しくありません。


また、介護福祉士は現場のリーダーや教育係を任されることも多く、後述する「役職」への道も開かれます。受験資格として「実務経験3年以上+実務者研修修了」が必要ですが、計画的にキャリアを積めば十分に取得可能です。収入アップを本気で考えるなら、必ず目指したい資格です。


さらなるステップアップ:ケアマネージャー(介護支援専門員)

現場でのケア提供だけでなく、利用者様のケアプランを作成する相談援助職へのキャリアチェンジも、大幅な収入アップに繋がります。ケアマネージャーは介護保険制度の中核を担う専門職であり、給与水準も高く設定されていることがほとんどです。


受験資格は「特定の国家資格(介護福祉士、看護師など)に基づく業務」または「相談援助業務」を5年以上経験することなど、ハードルは高いですが、その分大きなリターンが期待できます。現場の経験を活かし、利用者の生活全体を支える仕事に魅力を感じるなら、目指す価値のある資格です。


方法2:経験を活かして「役職」に就きキャリアアップする

現場での経験を積み、リーダーシップを発揮することで「役職」に就くことも、収入を上げるための王道ルートです。役職に就くと、基本給に加えて「役職手当」が支給されます。


どのような役職があるのか?

事業所の規模や種類によって呼称は異なりますが、一般的には以下のようなキャリアパスがあります。


フロアリーダー/ユニットリーダー


数名~10名程度のスタッフをまとめる、現場のリーダー。

新人教育やシフトの調整、ケアの質の向上などを担います。

役職手当の相場:月額5,000円~20,000円程度

サービス提供責任者(サ責)


訪問介護事業所に配置が義務付けられている役職。

ケアマネージャーとの連携、訪問介護計画書の作成、ヘルパーの指導・管理などを行います。

役職手当の相場:月額20,000円~40,000円程度

主任/介護長


フロアリーダーなどをまとめる、より上位の管理職。

施設全体の介護サービスの質を管理し、職員の採用や育成、労務管理などにも関わります。

役職手当の相場:月額30,000円~80,000円程度

役職に就くためには、介護の知識や技術はもちろん、マネジメント能力、コミュニケーション能力、課題解決能力といったスキルが求められます。日々の業務の中で、常に「どうすればもっと良くなるか?」と考え、チーム全体を意識して行動することが、上司からの評価に繋がり、役職への道を開きます。


方法3:給与水準の高い「施設・サービス形態」へ転職する

「今の職場では、これ以上の昇給は望めそうにない…」


そう感じたなら、思い切って働く場所を変えるという選択肢も視野に入れましょう。実は、介護サービスの種類(施設形態)によって、給与水準には明確な差が存在します。


給与水準が比較的高い施設形態

一般的に、夜勤があり、要介護度の高い利用者が多い施設は給与が高い傾向にあります。


特別養護老人ホーム(特養)


常時介護が必要な、原則要介護3以上の高齢者が入所する施設。

夜勤が必須であり、身体介護の割合も多いため、給与水準は介護施設の中でもトップクラスです。


介護老人保健施設(老健)


病院を退院した高齢者が、在宅復帰を目指してリハビリを行う施設。

医療的なケアやリハビリの視点が求められるため、専門性が高く評価され、給与も高めに設定されています。

訪問介護事業所


一概には言えませんが、生活援助よりも身体介護の時給が高く設定されていることが多く、常勤で多くの身体介護を担当する場合や、夜間対応などを行う場合は高収入を得られる可能性があります。

一方で、デイサービス(通所介護)やグループホームは、夜勤がなかったり少なかったりするため、上記の施設に比べると給与水準がやや低くなる傾向があります。


ただし、給与だけで職場を選ぶのは禁物です。施設の理念や雰囲気、仕事内容が自分に合っているかどうかが、長く働き続けるためには最も重要です。給与と働きがいのバランスを考え、自分に最適な場所を見つけることが大切です。


方法4:「夜勤」や「専門スキル」で手当を上乗せする

毎月の給与は「基本給+各種手当」で構成されています。この「手当」の部分を意識的に増やすことで、効率的に収入をアップさせることができます。


夜勤専従という働き方

「とにかく短期間で稼ぎたい」という方には、夜勤専従という働き方があります。1回の勤務時間は長いですが、深夜割増賃金に加えて1回あたり5,000円~10,000円程度の夜勤手当がつくため、日勤のみの場合に比べて給与は格段に高くなります。出勤日数が少なく、平日の昼間を自由に使えるというメリットもありますが、生活リズムが不規則になるというデメリットも理解しておく必要があります。


+αの専門スキルを身につける

介護福祉士などの資格に加えて、さらに専門的なスキルを身につけることも、手当による収入アップやキャリアの差別化に繋がります。


喀痰吸引等研修


たんの吸引や経管栄養といった、本来は医療従事者しか行えない「医療的ケア」を実施できるようになる研修です。これができる介護職は現場で非常に重宝され、事業所によっては特別な手当がつく場合があります。

認知症ケア専門士


認知症ケアに関する高度な知識と技術を持つことを証明する民間資格です。資格手当がつくケースはまだ多くありませんが、認知症ケアに力を入れている施設への転職で有利になったり、研修講師などの道が開けたりする可能性があります。

この他にも、送迎業務ができる普通自動車運転免許、レクリエーションで活かせる音楽療法や福祉レクリエーション・ワーカーの資格なども、あなたの価値を高める武器になります。


方法5:最も効果的!待遇の良い「法人・職場」へ転職する

ここまで4つの方法をご紹介してきましたが、収入アップのために最も効果的でインパクトが大きい方法は、これかもしれません。それは、**「そもそも給与水準が高く、職員への還元意識が高い法人・職場に転職する」**ことです。


驚くかもしれませんが、同じ「介護福祉士」として、同じような業務内容で働いていたとしても、運営している法人によって年収が50万円、あるいは100万円以上違う、というケースは決して珍しくありません。


給与が高い法人の特徴とは?

運営母体が安定している(社会福祉法人、大手株式会社など)

経営基盤が安定している法人は、職員の給与や福利厚生に投資する体力があります。

介護職員処遇改善加算などを上位区分で取得・還元している

国からの加算をきちんと職員の給与に反映している法人は信頼できます。求人票や面接で確認しましょう。

基本給が高めに設定されている

手当だけでなく、賞与(ボーナス)や退職金の算定基準となる基本給が高いかどうかは非常に重要です。

福利厚生が充実している

住宅手当、扶養手当、退職金制度などが整っていると、可処分所得や将来の安心感が大きく変わってきます。

良い職場を見極めるためのアクション

では、どうすればそのような優良法人を見つけられるのでしょうか。


求人票を隅々までチェックする: 給与の内訳(基本給、資格手当、夜勤手当など)が明確に記載されているかを確認しましょう。「月給30万円~」といった記載だけでなく、「給与モデル(例:介護福祉士、経験5年、夜勤5回の場合)」が示されていると、より具体的で信頼できます。

面接で質問する: 昇給制度(年にいくら上がるのか)、賞与の昨年度実績、処遇改善加算の分配方法など、お金に関する質問をしづらいと感じるかもしれませんが、これはあなたの生活に関わる重要な権利です。自信を持って質問しましょう。

介護専門の転職エージェントを活用する: 転職エージェントは、一般には公開されていない内部情報(実際の給与水準、職場の雰囲気、離職率など)を把握している場合があります。あなたの希望に合った優良求人を紹介してくれるだけでなく、給与交渉を代行してくれることもあります。

まとめ:あなたの価値を正当に評価してくれる場所で輝こう

介護職の収入をアップさせるための具体的な方法を5つご紹介しました。


資格を取得して「資格手当」を得る

経験を活かして「役職」に就く

給与水準の高い「施設形態」へ転職する

「夜勤」や「専門スキル」で手当を増やす

より待遇の良い「法人・職場」へ転職する

これらは、どれか一つだけを行うのではなく、複数を組み合わせて考えることで、より大きな収入アップに繋がります。


給与について考えることは、あなた自身のキャリアプラン、つまり「将来どんな介護のプロになりたいか」を考える絶好の機会です。


あなたがこれまで培ってきた知識、技術、そして何より利用者様を想う心は、非常に価値のあるものです。その価値を正当に評価してくれる場所は、必ず存在します。


やりがいと誇りを持ち続けられるように。そして、経済的な不安なく、この素晴らしい仕事を長く続けていけるように。ぜひ今日から、できることから一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


あなたの経験とスキルを求めている職場が、きっとあなたを待っています。