「介護の仕事は好きだけど、腰が限界で辞めてしまった…」
残念ながら、そんな話を耳にすることはおそらく少なくありません。
しかし、断言します。
「介護職 ＝ 必ず腰痛になる」というのは誤解です。
正しい知識（技術）と良い環境があれば、腰痛は劇的に予防できます。
今回は、未経験の方もベテランの方も知っておきたい、**一生使える「腰を守る技術」**について解説します。
1. 魔法の技術？「ボディメカニクス」を知ろう
介護の学校や研修で必ず習う言葉に**「ボディメカニクス」**があります。
これは、骨格や筋肉の動きといった力学の原理を応用し、最小の力で最大の効果を出す技術のこと。
難しそうに聞こえますが、基本は**「テコの原理」**です。
これを知っているかいないかで、腰への負担は天と地ほど変わります。
【ボディメカニクスの基本ポイント】
- 支持基底面を広くする： 足を肩幅以上に開き、安定させる。
- 重心を低くする： 膝を曲げて腰を落とす（腰だけ曲げるのはNG！）。
- 対象に近づく： 重い荷物を持つ時と同じ。相手の体を自分の体に密着させることで、重さを感じにくくする。
- 大きな筋肉を使う： 腕や腰だけの力ではなく、太ももやお尻の大きな筋肉を使う。
この技術を習得すれば、小柄な女性でも大柄な男性の介助が驚くほどスムーズになります。
2. プロは「頑張らない」。道具を活用する
「技術も大事だけど、毎回完璧にするのは大変…」
そう思うのは当然です。だからこそ、今、賢い介護職は**「道具」**に頼ります。
前回のコラムでも紹介した「ノーリフティングケア」の考え方です。
- スライディングシート： ベッド上で体を動かす際、摩擦を減らして滑らせる。
- 高さ調整機能付きベッド： オムツ交換の際はベッドを高くし、自分が前かがみにならない位置に調整する。
「忙しいからベッドの高さを変える時間が惜しい」と無理な姿勢でケアをするのが一番のリスク。「自分の腰を守る数秒」を惜しまないことが、プロの鉄則です。
3. 実は「メンタル」も腰痛の原因に？
意外かもしれませんが、ストレスと腰痛には深い関係があることが医学的にもわかっています。
職場での緊張状態が続くと、自律神経が乱れ、血流が悪くなり、筋肉が硬直して痛みが出やすくなるのです。
つまり、**「人間関係が良い職場」「休憩がしっかり取れる職場」**を選ぶことも、立派な腰痛予防対策の一つなのです。
4. 腰痛予防に力を入れている求人の見分け方
求人を探す際、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 「ボディメカニクス研修あり」の記載： 入職後に体の使い方を教えてくれるか。
- 「ノーリフティングケア推進」： リフトやシートなどの道具があるか。
- 「入浴介助の環境」： 特殊浴槽（機械浴）などが導入されているか。（中腰での洗身は腰への負担が大きいため）
面接の際に、**「職員の腰痛予防のために取り組んでいることはありますか？」**と質問してみるのも良いでしょう。明確な答えが返ってくる施設は、職員を大切にするホワイトな職場である可能性が高いです。
まとめ：腰痛は「根性」ではなく「技術と環境」で防ぐ
介護は、利用者の生活を支える素晴らしい仕事です。
だからこそ、あなた自身が健康でなければ、良いケアは提供できません。
**「正しい身体の使い方（ボディメカニクス）」を学び、「設備と環境が整った職場」**を選ぶこと。
この2つが揃えば、介護はもっと楽に、もっと楽しく続けられる仕事になります。
【編集部より】
「腰への負担が少ない」職場を厳選しました
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「体の負担が心配…」という方は、ぜひこちらの特集からお仕事を探してみてください。
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