はじめに
「処遇改善加算」という言葉を、介護職の求人情報やニュースなどで聞いたことはありますか?給料に関わる重要な制度ですが、その仕組みが少し複雑なため、「結局どういう制度なの?」「自分の給料にどう影響するの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
このコラムでは、介護職の給料アップに大きく関わる「処遇改善加算」について、その目的から具体的な仕組み、そして給料への影響まで、誰にでもわかるように解説します。
1. 処遇改善加算とは?
処遇改善加算とは、国が介護職員の賃金を改善するために設けている制度です。簡単に言うと、**「介護職員の給料を上げるための補助金」**です。
介護事業所は、この加算を取得するためにいくつかの要件を満たす必要があります。そして、加算によって得たお金は、給与や賞与として介護職員に還元することが義務付けられています。
この制度の目的は、介護職の賃金を向上させることで、優秀な人材の確保・定着を図り、介護サービスの質を高めることにあります。
2. 処遇改善加算の種類と給料への影響
処遇改善加算には、現在、大きく分けて3つの種類があります。
①介護職員処遇改善加算
2012年から始まった最も基本的な加算です。この加算は、事業所の体制やキャリアパスの整備状況に応じて、Ⅰ~Ⅴの5つの区分に分かれており、加算額は区分によって異なります。上位の区分を取得している事業所ほど、より多くの加算金を得て、職員に還元できます。
②介護職員等特定処遇改善加算
2019年から始まった加算で、「経験・技能のある介護職員」のさらなる処遇改善を目的としています。具体的には、勤続年数の長いベテラン職員の給料を重点的に引き上げることが求められます。
この加算は、以下の3つのグループに分配することが原則です。
- 経験・技能のある介護職員(勤続10年以上など)に重点的に配分
- 他の介護職員(勤続10年未満など)にも配分
- その他の職員(事務職員など)にも一部配分可能
③介護職員等ベースアップ等支援加算
2022年から始まった、介護職員の給料の引き上げ(ベースアップ)を目的とした加算です。この加算で得たお金は、基本給や固定の手当として賃金改善に充てることが義務付けられています。
これら3つの加算は、それぞれ目的が異なるため、組み合わせて取得している事業所も多いです。
3. 自分の給料にどう影響するのか?
では、これらの加算は、あなたの給料に具体的にどう影響するのでしょうか。
- 給与や賞与に上乗せされる:加算金は、基本給、資格手当、役職手当、あるいは賞与(ボーナス)という形で支給されます。
- 職場の選択が重要:すべての介護事業所が処遇改善加算を取得しているわけではありません。加算を取得しているかどうか、またどの区分を取得しているかによって、職員に還元される金額は大きく変わります。
【求人情報でのチェックポイント】
- 「処遇改善加算あり」と記載されているか
- 加算の種類(処遇改善加算、特定処遇改善加算など)が明記されているか
- 実際にどのくらいの金額が給料に反映されるのか、面接時に確認する
まとめ
処遇改善加算は、介護職の給料改善を目指す国の重要な制度です。この制度によって、介護職の給料は少しずつ上がってきており、今後も改善が期待されます。
介護職への転職を考えている方は、求人情報を見る際に「処遇改善加算」の有無や内容をしっかり確認しましょう。この制度を理解することで、より良い条件で働ける職場を見つけることができ、経済的にも安心して介護の仕事に取り組むことができます。