看取り介護とは?自宅・施設での看取りの違いと心構え【家族向け】
人生の終末期を穏やかに迎えるための「看取り介護」。この言葉を耳にする機会が増えましたが、具体的に何を指し、どのように向き合えばよいのか、戸惑う方も少なくないのではないでしょうか。
このコラムでは、看取り介護の基本から、自宅と施設での看取りの違い、そして家族が心に留めておきたい心構えについて解説します。
1. 看取り介護とは?
看取り介護とは、病気の回復が困難と判断された方が、残された時間を穏やかに過ごせるよう、心身の苦痛を和らげ、その人らしい最期を迎えられるようにサポートする介護です。
単に医療的なケアを行うだけでなく、精神的な安らぎや、家族との時間を大切にするためのサポートも含まれます。
- 看取り介護の目的
- 痛みや苦しみを和らげ、QOL(生活の質)を維持する。
- 本人の意思を尊重し、穏やかな最期を迎えられるようにする。
- 最期の瞬間まで、その人らしい尊厳を保つ。
- 家族の精神的な負担を軽減し、グリーフケア(死別後の悲嘆ケア)につなげる。
2. 自宅・施設での看取りの違い
看取りの場所は、大きく分けて「自宅」と「施設」の2つがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、本人の意思や家族の状況に合わせて選択することが重要です。
自宅での看取り施設での看取りメリット・住み慣れた場所で、リラックスして過ごせる。<br>・時間や面会の制限がなく、家族が自由に過ごせる。<br>・食事や生活リズムなど、本人の希望に沿いやすい。・24時間体制で専門職(医師、看護師、介護士)によるケアが受けられる。<br>・緊急時の対応がスムーズ。<br>・家族の身体的・精神的負担が少ない。<br>・医療設備が整っている場合が多い。デメリット・家族が24時間体制で介護にあたる必要があり、身体的・精神的負担が大きい。<br>・医療的ケア(点滴や酸素吸入など)が必要な場合、在宅医療サービスの連携が必要。<br>・夜間や休日の急変時に、対応に時間がかかる場合がある。・時間や場所など、面会の制限がある場合がある。<br>・最期を迎える場所が、慣れない環境になる。<br>・看取りにかかる費用が、自宅での看取りに比べて高くなる場合がある。
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3. 家族のための心構え
看取り介護は、本人だけでなく、家族にとっても大変な経験です。後悔のない最期を迎えるために、以下の心構えを大切にしてください。
- 本人の意思を尊重する
- まずは、本人の意思を丁寧に聞き、どのような最期を迎えたいのか、何をしてほしいのかを理解することが最も重要です。
- リビングウィル(事前指示書)の作成を検討することも一つの方法です。
- 専門職との連携を密にする
- 在宅医療の医師、訪問看護師、ケアマネジャーなど、看取りに関わる専門職と密に連携を取り、不安な点や困ったことはすぐに相談しましょう。
- 施設の場合も、担当のケアマネジャーやスタッフに遠慮なく質問することが大切です。
- 完璧を目指さない
- 「もっと何かできたのではないか」と自分を責めてしまうことは、多くの家族が経験することです。しかし、完璧な介護はありえません。
- 「これで十分」と自分を労り、頑張った自分を認めてあげましょう。
- 記録を残す
- 日常の様子、最期の会話、感謝の気持ちなどを写真やメモ、日記に残しておくと、後から見返したときに心の支えになります。
- 特に、楽しかった思い出を振り返ることは、グリーフケアにもつながります。
- 自分自身を大切にする
- 看取り介護は、心身ともに疲弊しやすいものです。家族が倒れてしまっては意味がありません。
- 時折、休息を取ったり、友人や他の家族に話を聞いてもらったりするなど、自分のケアも忘れないでください。
まとめ
看取り介護は、最期の時間を大切にし、その人らしい人生を締めくくるための大切なプロセスです。
本人の意思を尊重し、専門職のサポートを受けながら、家族みんなで向き合うことで、穏やかで心温まる最期を迎えられるでしょう。
そして、たとえ最期が訪れたとしても、その時間の中で築いた温かい思い出は、いつまでもあなたの心の中で生き続けるはずです。