「ありがとう」が支えになる:介護のやりがいを再発見する利用者さんとの絆の深め方
介護の仕事は、時に身体的・精神的な疲労が伴います。しかし、そんな日々の疲れを吹き飛ばしてくれるのが、利用者さんからの「ありがとう」という言葉や、ふと見せてくれる笑顔です。
「ありがとう」は、単なる感謝の言葉ではありません。それは、私たちが提供したケアが、利用者さんの心に届いた証であり、私たち自身の心を温めてくれる大切なエネルギーです。ここでは、その「ありがとう」を増やし、介護のやりがいを再発見するための、利用者さんとの絆を深める方法をご紹介します。
1. 「ありがとう」を「見つける」
「ありがとう」は、必ずしも言葉として発されるわけではありません。利用者さんの中には、病気や障がいによって、うまく言葉を話せない方もいらっしゃいます。
大切なのは、「ありがとう」の気持ちを、言葉以外のサインから読み取る努力をすることです。
- 目の輝きや表情の変化: 話しかけた時にパッと明るくなる表情、心からリラックスしている時の穏やかな顔。
- 小さなジェスチャー: 手を握り返してくれる、肩をポンと叩いてくれる、見送る時に手を振ってくれる。
- 行動の変化: 食事が進まなかった方が笑顔で完食してくれたり、今まで嫌がっていた入浴をスムーズに行ってくれたりする。
こうした小さな変化に気づくことができれば、日々の中に隠された「ありがとう」をたくさん見つけることができます。
2. 「あなた」と「私」の関係を築く
介護は、単なるサービス提供ではありません。利用者さん一人ひとりの「人生」に寄り添う仕事です。
- その人の歴史に耳を傾ける: 「昔はどんな仕事をされていたんですか?」「どんなものが好きでしたか?」など、利用者さんの過去の人生や好きなことについて尋ねてみましょう。会話を通じて、その人が「誰か」ではなく「かけがえのない個人」として見えてきます。
- 共通の話題を見つける: 好きな食べ物やテレビ番組、趣味など、共通の話題を見つけることで、自然と会話が弾み、親密さが増していきます。
- 名前で呼ぶ: 丁寧な言葉遣いを心がけつつ、ただの「利用者さん」ではなく、名前で呼びかけることで、より個人的な関係を築くことができます。
3. 「ありがとう」を素直に受け取る
「いえいえ、当然のことをしたまでです」と、謙遜していませんか?謙虚な姿勢も大切ですが、せっかくの「ありがとう」は素直に受け取りましょう。
利用者さんの「ありがとう」は、あなたが懸命に働いていることへの心からの感謝です。その言葉をまっすぐに受け取ることで、あなたの心も満たされ、次の「ありがとう」を生み出すエネルギーへと変わります。
介護の仕事は、時として孤独を感じるかもしれません。しかし、利用者さんとの間に確かな絆を築くことで、日々の「ありがとう」があなたの心の支えとなり、この仕事を選んだことへの確かな誇りへと繋がっていくはずです。