「介護職は給与が安い」というイメージを持っている方は少なくありません。しかし近年、国は介護職員の処遇改善に力を入れており、給与アップに向けた取り組みが進められています。その代表的なものが**「処遇改善加算」**です。今回は、介護職の給与の現状と、この加算制度がどこまで給与改善に繋がっているのかを解説します。
1. 介護職の給与の現状と課題
確かに、これまでの介護職の給与水準は、他産業と比べて低い傾向にありました。この主な原因は、介護サービスの対価である「介護報酬」が公定価格であり、コストに見合った報酬が確保しにくいことにあります。しかし、介護職員の離職率低下や人材確保のためには、給与改善が不可欠であると国も認識しています。
2. 処遇改善加算とは?
処遇改善加算は、介護職員の給与をアップさせるために、介護事業所が国から受け取る「加算金」のことです。介護事業所は、この加算金を介護職員に支給することが義務付けられています。この制度は、以下のような複数の種類があります。
- 介護職員処遇改善加算: 2012年から始まった制度で、介護職員の給与を増やす目的で創設されました。
- 介護職員等特定処遇改善加算: 2019年から加わった制度で、経験や技能のある職員の処遇を重点的に改善するために創設されました。
- 介護職員等ベースアップ等支援加算: 2022年から加わった制度で、介護職員の基本給を引き上げることを目的としています。
これらの加算金は、事業所の運営体制や職員の働き方に応じて国から支払われ、各事業所がその金額を介護職員に配分します。
3. 処遇改善加算で給与はどこまで改善される?
処遇改善加算は、介護職員一人ひとりの給与にどれくらい反映されるのでしょうか。
- 給与アップの実績: 各加算の制度設計により、介護職員の平均月収は着実に増加傾向にあります。例えば、ベースアップ等支援加算では、給与の引き上げが義務付けられているため、すべての介護職員の給与が確実にアップします。
- 事業所による差: 加算金の配分方法や、どの加算を算定しているかは事業所によって異なります。そのため、加算制度を積極的に活用している事業所とそうでない事業所とでは、給与に大きな差が生まれる可能性があります。
- 働き方による差: 役職や勤続年数、保有資格(介護福祉士など)によって、加算金の配分額に差を設けている事業所もあります。これは、専門性の高い職員の給与を優遇することで、キャリアアップを促す狙いがあります。
4. 転職活動でチェックすべきポイント
介護職への転職を考えているなら、以下の点を求人情報や面接で確認することをおすすめします。
- 「処遇改善加算」を算定しているか?: 複数の加算を算定している事業所は、給与改善に積極的である可能性が高いです。
- 具体的な加算額は?: 加算金がどの程度給与に上乗せされるのか、具体的な金額を確認しましょう。
- 給与体系は?: 基本給、手当(資格手当、夜勤手当など)、そして加算金がどのように構成されているかを確認しましょう。
まとめ
「介護職は給与が安い」というイメージは過去のものとなりつつあります。処遇改善加算によって、介護職の給与は着実に改善されており、特に複数の加算を算定している事業所では、他産業と遜色ない収入を得ることも可能です。
介護職への転職を検討する際は、処遇改善加算に積極的に取り組んでいる事業所を選ぶことで、安定した収入とやりがいのある仕事の両方を手に入れることができるでしょう。